哲学的な会話と日常
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「休日とは何だろうか? 宗教によっては、神に祈る為の日であったり、活動を控え静かに過ごす為のものである。しかし、現代の休日とは平日に出来ない娯楽、運動などを楽しむべきものと私は考える。」

 「そっか、それじゃあオレの部屋なんかに居ないで遊んでこい」

 「学習とはどういうものだろうか? 学習をする為に学校があり、それに加えて塾、予備校がある。しかし、学び、理解をする手順は人それぞれ異なり、それを教室という場において多人数が同時に学ぶという行為には限度がある。なので、学校での教育はその限度ギリギリを目指して行われる。だというのに予備校は学習に効果的と言えるのだろうか? 自分自身で学習出来ることが一番大切であると私は思う。」

 「……いや、勉強するとか予備校とかに行くとかするわけじゃないぞ?オレには無駄だって分かってるしな」

 「甲斐性がないとはどういうことであるだろうか? 辞書に記される意味ではは頼りがいがないことであり、一般的には金銭的に弱いようなことを言うことが多い。しかし、金銭などよりも、女子供を遊びに連れて行くことの出来ない男を指すべきだと私は思う。」

 「はいはい。甲斐性なしですよ」


 『(ピンポーン)』


 「……ところで…今、窓から見えたお客さんって、お前のお母さんじゃなかったか?」

 「………。」

 「……まぁいいか………」


 『晧嗣〜。折口さんから映画のチケット貰ったわよ〜。 愛知ちゃんもそこに居るんでしょ〜? 一緒に行ってきなさ〜い。』

 「…運命とは何だろうか?」

 「お前!!謀ったな!!! 笑ってんじゃねぇ!!!」

 「母とはどういうものだろうか? 一般的に高校生の男子というのは母離れが進み、母親の影響力は少なくなる。 しかし、私は平山家、特に晧嗣に対しての母の影響力は絶大であると私は知っている。」

 「親使うなんて卑怯だ!!」

 『晧嗣〜。騒いでないで早く行ってらっしゃ〜い』

 「………ちくしょう………。」






 「映画館とは何だろ…」

 「映画館は映画を見るところです。で、何の映画のチケットなんだ?」

 「自由とは何…」

 「ああ、これって一回無料で見れるってやつか。で、何が見たいんだ?」

 「忠誠心と……」

 「分かった。この『逸れ犬の暖かい冬と冷たい夏』ってのを見たいんだな。」

 「………。」

 「あってるだろ?早くいこう」

 「(ポカリ)」

 「痛ぇ!」

 「(ポカポカ)」

 「おい殴るな!休日を潰された可哀相な少年の可愛い仕返しじゃないか!」

 「………。」

 「………分かったオレが悪かった。……ささ、映画が始まりますから行きましょう愛知さま………。」







 『……この逸れ犬は君の為に運命を捻じ曲げたんだ……。」

 『………ハグ………。』

 『ハグもきっと幸せだったろうよ。』


 「………感動とは……」

 「上映中だ。静かに。」

 「……(コクリ)」
 





 
 「……いい映画だったな……感動したわ。」

 「…感動とは……」

 「ああ、上映中、いたたまれなくって何か言わないと仕方なかったんだろ。ごめんな。」

 「……運命とは…………うわぁぁぁん」

 「はいはい、待ってるからゆっくりいっぱい泣け。」






 「……で、この後はどうするんだ?予定はあるのか?」

 「予定とは何だろうか? 予定とは事前に決めた物事の順序のことである。しかし、事前に決めずその場で状況を見て次の行動を決めることを決めるのも予定……」

 「要するに何も予定がないのな。どこか行きたいところはあるか?」

 「忠誠心とは何だろうか? 忠誠心とは字の通り忠誠の心であって、しかしそれはどうでもいいから、わんちゃん見たい。」

 「もう哲学でもなんでもないよな。」






 「……犬は動物だから動物園に来たけど…………動物園って犬はほとんど居ないよな………。」

 「パンダとは何だろうか!! なんでこんな可愛いのだろうか!!!」

 「……まぁ、満足してるのならそれでいいけど………」

 「赤ちゃんパンダとは何でこんなに可愛いのだろうか!!!?」

 「もう哲学もどきですらないな。」

 「パンダとは………………。」

 「……ん?」

 「…………。」

 「どうかしたのか?」

 「……………(ダッ)」

 「おい!何処に行く!?」



 『………はい?』

 「パンダの健康状態とは!?」

 『だから、何を言っているんだいお譲ちゃん? 私も飼育員の仕事の途中だから暇じゃないんだけど…………。』

 「……異常とは……」

 「あの、すいません、なんかパンダの様子がおかしいみたいなんで、一応見てくれませんか?」

 『………パンダの様子?』

 「そうだろ?」

 「(コクリ)」

 『分かりました。見てみます。』





 『……ありがとうございました。餌が喉に詰まってたようです。』

 「(コクリコクリ)」

 「……どうも」

 『ところで、お名前を聞いてもいいかい?』

 「(コクリ)」

 「………オレが平山晧嗣で、こちらが折口愛知です。」

 『えっ?愛知ちゃんって言うのかい!? このパンダの愛称と同じじゃないか!!』

 「!!」

 「それは奇遇ですね!」

 『同じ名前の方に助けてもらうなんて、運命としか思えないね。 それじゃあ、本当にありがとう。 これ、売店で使えるソフトクリームとかと交換できる引換券、お礼にしては粗末なものだけど、ゆっくり楽しんでってね。」

 「はい。ありがとうございます。」






 「前から不思議なやつだと思ってたけど、まさかパンダと運命で結ばれているとは。」

 「…………。」

 「それにしても、さっき飼育員さんにパンダのことを伝えに行く時、そういう時くらいは普通のしゃべり方をしないのか?」

 「……運命とは何だろうか? 辞書によると運命とは『人生・社会の成り行きを支配し、人の力ではどうにも出来ない力』とされている。しかし、決して運命は普遍のものではないと私は考える。運命とは、その時その状態で、その次の事柄に対し定められたものが運命だと私は思う。」

 「……はい…。………?」

 「哲学とは何だろうか? 哲学とは物事の根本原理を探求する学問である。そして、それは運命を少しでも良いものとする為にあるものだと私は考える。」

 「…………そうか…………でも、パンダを助ける緊急時に普通に喋らなかった理由にはなってないよな。」

 「…………。」

 「で、理由は?」

 「…………。」

 「……それじゃぁ、何故その喋り方をしているのかだけ教えてくれ。」

 「それは、哲学とは実行することが求められる学問であるからよ。」

 「……今、普通に喋ったよな。」

 「……!!!!」

 「……パンダの時は緊張して混乱して普通に喋れなくて、今回は焦って逆に普通に喋ったってところか………。」

 「……私とは何なのだろうか………。」

 「まぁ、もうその話はいいから、ソフトクリーム食べ終わそう。 もうそれ、溶けて垂れてるぞ。」

 「……えっ!? キャァ!」

 「ぉおい!投げるな!!」


 『(べチャ)』

  
 「………ぁあ〜」

 「……………。」

 「………額から伸びるアイスのコーンがまるでユニコーンの角の様だ………なんて哲学的だろう…………。」

 「……ふざけるな!! それにまずお前は『哲学』に対して謝れぇぇぇぇぇぇぇぇぇえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」








 「……ごめんなさい。」
海老原いくみ Cv9MWfDbBk

2011年01月01日(土)00時17分 公開
■この作品の著作権は海老原いくみさんにあります。無断転載は禁止です。

■作者からのメッセージ
メインのパソコンが吹っ飛んで上手く投稿できたか分からないので一応もう一度投稿。
重複していたらすいません。

内容は論語を意識して
敢えてモノローグなどがない会話のみで物語を作ってみました。

モノローグがないことの難しさが身にしみましたが、
モノローグを想像する楽しみがあるものが出来たのではないかと図々しく思っていたりします。

短時間で書き上げた作品ですが、バカにするなどでもいいので、楽しんでいただけると幸いです。


この作品の感想をお寄せください。

2011年04月03日(日)23時40分 ソフィー  +10点
はじめまして。
三点リーダーを使いすぎだと思いました。
描写でキャラの心情を表すようにした方が良いと思います。

今後ともがんばって下さいね。
127

pass
2011年02月26日(土)02時51分 ano  +10点
>「それは、哲学とは実行することが求められる学問であるからよ。」

かわいらしい物語の中に哲学的に読者の側をはっとさせるようなことが混ぜられているところがよかったです。
116

pass
2011年01月29日(土)14時11分 天沢透  +20点
会話だけでの記述、面白いです。
愛知=フィロソフィーですね。
かわいい感じがででます。 
120

pass
2011年01月12日(水)16時52分 魚  0点
「○ ○ とはなんだろうか?」ネタをひっぱりすぎだと思いました。

こういうのは要所要所でやらないと、読む側が飽きてしまいます。

また誰が話しているのか、読み取るのがちょっと辛かったです。


130

pass
2011年01月08日(土)00時16分 開蔵  0点
>「パンダとは何だろうか!! なんでこんな可愛いのだろうか!!!」
ここ可愛いかったです!

>『ところで、お名前を聞いてもいいかい?』
飼育員さんのこの台詞はちょっと唐突過ぎるように思います。
そして敬語になったり馴れ馴れしくなったり。おじ様なのかお兄様なのか掴めなくて、
この飼育さんはなんなんだ、という風にあまり望ましくないかたちで気が逸れてしまいました。
126

pass
2011年01月03日(月)22時36分 plusinquotes  +10点
 『論語』というのはよくわかりませんでしたが、ともかく会話調の軽快な文章で、つらつらと楽しく読ませていただきました。

 企画の目的を見ると、「最大の目的は『新しい萌え』の創出」、「『哲学っぽい』雰囲気の萌え美少女を表現することが目的であり、難しい「既存の哲学知識」を読者に説明することが目的ではありません。/ 例えば、『朝食はパンとごはんどっちがいいか』を延々と語りまくるヒロインでもOK」と書かれており、企画者ご自身が『バキ』の愛好者であることを公言されているので、作者・読者がいかなる背景を持とうとも、どんな価値体系を持とうとも、ともかく多様なる作品と多様なる読者との間のカップリングに於いて「とにかく、面白けれりゃ/すごけりゃいいんだよ」と言うことができようかと思います。

 じゃによって、貴作はくすりとさせられるような面白さがあったと思います。

 個人的なことですが、論理性を装う、男言葉のクールな少女キャラは好きです。
128

pass
2011年01月02日(日)04時07分 いも M8vT5jA.U. -10点
んー、三点リーダーが多すぎる気がします。
しゃべらないキャラを使って会話だけで物語つくるのは、さすがにつらいんじゃないかと。

加えてアドバイスするなら、会話だけで物語をつくるなら、特別な「場」を与えないことです。
家、映画館、動物園と場が移動するだけで、会話以外の要素が必要になってきますから。
(論語も、孔子がどこそこへ行った、とか、どこそこで何をした、という場合には、地の文が出てきますよね。逆に、地の文がないものは、そういった描画がないかと思います。)

哲学的な部分を指摘すれば、彼女には「問題意識」がありません。
それゆえ、哲学的な仕草がただのポーズになってしまっています。

あと、本筋とはズレますが、愛知←名前の読み方が分かりません。。。

115

pass
2011年01月01日(土)17時46分 折伏ぬゐ 3zzXlUmpzE 0点
はじめまして海老原いくみさん。ぬゐというものです。作品読ませて頂きましたので感想をば。


ヒロインの特徴的な喋り方が印象的でした。会話だけの構成もとんとん拍子で読めて良かったです。
モノローグを想像することに関してですが、ユニコーンの部分だけはありありと浮かんできました(笑)
135

pass
合計 8人 40点


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