FOR THE UNDAMAGED
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傷口から生まれた少女の、「非」言語的言語実験による言語的閉鎖からの脱出と言語ゲームの終わりと始まり――あるいは(FOR THE UNDAMAGED)

※〈〉内ルビ

――――――――――――

0

傷口から生まれた女の子。
彼女にとってダメージは絆、ダメージのことなら何を置いても大事にしてるよ。
そしたらダメージやり過ぎだよって怒られて、そのうえ逮捕してもらっちゃった。
  ポーン――ダメージア

――――――――――――

1

“言語ゲームの終わり”

1.世界は成立していることがらの総体である
2.成立していることがら、すなわち事実とは、諸事態の成立である
3.事実の論理像が思考である
4.思考とは有意味な命題である
5.命題は要素命題の真理関数である  _  _  _
6.真理関数の一般形式はこうである[p,ξ,N(ξ)]
 これは命題の一般形式である
7.語りえぬものについては、沈黙せねばならない
  ウィトゲンシュタイン――論理哲学論考


“医師”

ダメージア。
ダメージするということ、痛みを感じるということ、自傷することを宿命づけられた少女――母親の膣を通って生まれたのではなく、傷口からとりだされた。

リストカット。
それが彼女が『生きている』ことを感じるための唯一の手段であって、彼女たちは痛みを感じること、自らの身体に血が流れていることを知ることでしか自身の存在を証明できない。

しかし――

仮に、少女たちの身体性がことごとく完璧に破壊されたなら、
仮に、少女たちが『痛み』を感じる必要性が失われたなら、
仮に、ことごとく少女たちが人形であったなら、
少女たちは自傷をやめられるのではないか?

しかし、己を傷つけずにはいられない少女たち〈ダメージア〉の『イノセンス』を、いったい誰が理解できるだろう?

――――――――――――
2

“ダメージア”

痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいイタイイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイイタイ言いたい
こんなにもからっぽでからっぽで、何をしても満たされなくて痛みを感じることさえもできなくて、生まれた時からわたしにはほかの人間が持っている大切なものが欠落していて、ただ漠然とした不安だけが心の深奥で凍りつき巨大な氷像になる。仮想上の粒子でいっぱいに満たされた心の中が宇宙背景放射のその先まで、結氷するとき。
からっぽだ、からっぽだ、なにもない、痛みさえも感じない。だからわたしは痛いと叫ぶ。
ダメージア。ダメージするということ。それがわたしの名前。それがわたしの生まれた理由。


“言語ゲームの終わり”

I had to, like, open the bruise up and let some of the bruise blood come out to show them
  ライヒ――come out

ライヒが「come out」で行ったのは、リフレインによる言葉からの意味の剥奪だ。言葉から意味を奪うならば、それは、無意味な音節の連なりになる。では、人間から意味を、『彼ら』にみせる血を、切り開く傷口を、剥奪したならば何になるのだろうか?

――人形
ダメージアならこう答えるだろう。

彼女は“知っている”


“医師”

言葉が世界を形作る。認識という行為は言葉によって、常に解体、再構築される。痛みがあるから痛いと叫ぶのではない。痛いと叫ぶからこそ、はじめて痛みが生まれるんだ。
コリン・マッギンはいわゆる「こころの哲学」において「認知的閉鎖」の語を広めた。
その内容は「いかにして意識は生み出されるか」という問いに対して、「人間はこの命題の解から認知的に閉鎖されており、決してそれを『理解』することはできない」と答えるものだ。
対して私は、「ことばの哲学」において「言語的閉鎖」という語を考えようと思う。
その内容は「人間は言語によって表現することができない概念、事象、事物から言語的に閉鎖されており、決してそれらを『理解』することはできない」というものだ。


―――――――――――――
3

“言語ゲームの終わり”

ぼくは人形となら、うまくやっていけそうだ。
だが、ぼくと暮らす人形たちは、セルロイドや蝋細工では困る。
キャロルの写真集に出てくるような、血のかよった人形がいいのだ、と。
  寺山修司――人形たちの夜
  

“ダメージア”

人形劇の主役はわたし☆ わたしは、『人形の家』に生まれたんだ☆ 
お母さんがわたしを尖ったハサミで切り開き、内臓を抜いて綿を詰める☆ 
生きながらわたしの身体は人形のものへと作りかえられていくよ☆ わたしの心は人形のものへと作りかえられていくよ☆ 
偽善の針と、所有欲の糸☆ 
毛布のように柔らかく縫いこめるパッチワークと、常に現実を覆う透明な綿☆
それはとっても苦痛で心地いいことなんだ☆


“医師”

叫ぶことは語ることの真部分集合なのだろうか?
『痛い』と繰り返すことで『痛い』という言葉から意味は失われる。
永遠に繰り返される『痛い』という叫びは意味を持たない音節の連なりであり、それは『言葉』ではない。
しかし、言葉によらないコミュニケーションが意味を持つことがある。たとえば、それが言葉ではないということ自体が、他者になんらかの『ことば』を伝える。そんなことが、あるのだ。
私たちは本当に、語りえぬものについて沈黙しなければばならないんだろうか? いや、そもそも沈黙することが可能なのだろうか、ウィトゲンシュタインでさえ「語りえぬものについては沈黙せよ」と、“語った”というのに。


――――――――――――
4

“言語ゲームの終わり”

言語の欠陥とは認識の欠陥だ。
私たちはディスコミュニケーションの巨大な一枚岩に点在する小さな空間、コミュニケーションの住人で、内壁に頭を打ちつける。「理解しろ、理解しろ、理解しろ」頭を打ちつけ続ける。
そうするうちに入り込むのだ。脳の中に、ディスコミュニケーションの破片が。そして見よ、いまや私たちは私たち自身をさえ『理解』することができない。


“ダメージア”

わたしは包丁を手に調理していたよ☆ お母さんが呼ぶから包丁を右手に向かったら、お母さんはあからさまに慄いてた☆ その視線は包丁を串刺しにしてたよ☆
その時、わたしは気づいたんだ☆ お母さんはわたしを恐れているって☆ カッターナイフで自分の右手首を裂く狂人、『理解できないもの』、としてわたしを恐れているって★


“医師”

これは、「母親殺し」の物語。
ダメージアの母親はダメージアを強く抑圧する傾向がある。ちょうど、人形遊びをする子供のように。

私は知っている。いや、私たちは知っている、知っていなければならない。ダメージアはダメージすることで私たちに語りかけているのだ、自身に語りかけているのだ。
「わたしは、こんなにも痛みを感じているんだ」
って。

爪痕を君に、裂傷を私に、銃創を世界に。
『たかが言葉で作った世界を言葉で壊すことがなぜできないのか。引き金を引け、言葉は武器だ!』

――――――――――――
5

“言語ゲームの終わり”

大前提 あらゆる哲学はただに言語ゲームに過ぎない
中前提 哲学の終焉があらゆる『叫び』の終焉である
小前提 『痛い』と叫ぶ時、はじめて痛みが生まれる

結論  言語ゲームの終わりとは哲学の沈黙であり、『痛み』の終わりを意味する。

そうだ。ダメージとはコミュニケーションの暗喩に他ならない。


“医師”

私はダメージアが彼女の母親を殺害することを危惧している。母親がダメージアを完全な人形に作り変える前にダメージアの心が臨界点に達し、あらゆるものを『ダメージ』することを。
私にはダメージアを止める義務がある。しかし私は、ダメージアを止める権利を、持っているのだろうか?
ダメージアから刃物を奪い、その絶叫を塞ぐ。簡単だ、簡単なことだ。
でも……でも、
(私は一度として、本当に/傷ついたことが/ないのだ)

――――――――――――
6

“医師”

人間は、なにかを壊すために言葉を創ったんだと、私は、そう思うよ。

だから、だから、私は、ダメージアを止める権利なんか持っていないんじゃないかって、そんな気がしてならなかった。
ダメージアは震えていた。ダメージアのポケットに、いつも自傷に使われるカッターナイフが隠されているのを、私は知っていた。
今日初めて、ナイフがダメージア以外の人間を傷つけることになるのではないかと、そう思った。
しかし私はなにも語らず、ダメージアを家に帰した。
彼女からナイフを取り上げることは、彼女に「死ね」と語ることだったから。
そして、私は彼女に語ることばをもたなかったから。

――――――――――――
7

“ダメージア、そして言語ゲームの復活”

もらった一万語は
ぜんぶ「さよなら」に使い果たしたい
どうかわるく思わないでくれ!
速く走るためには負担重量ハンデを捨てねばならぬ たとえ文法の撃鉄で
おっ母さんの二人や三人殺したとしても
  寺山修司――ロング・グッドバイ

「さよなら」
わたしは、もう語るのをやめる。その代り、『痛い』と叫ぶ。大きな声で、ガラスを殺すような声で。
『痛い』と叫ぶことでしか痛みが現実になりえないのなら、それが語りえぬものであったとしても、それが語りえぬものであったとしても、わたしは叫ぶ。
わたしは、さけぶ。いたみを、かんじるために。だめーじするために。

これが、わたしがここにいるりゆうです☆


“医師”

私たちはいままでもずっと、いっけん言語によって表現不可能な感情、概念を言葉によって語ってきた。小説や、戯曲、詩、哲学、言葉遊び、タイポグラフィー、あらゆる言葉の実験によって。
言語の可能性はウィトゲンシュタインが思っていた以上に大きい。
ウィトゲンシュタインは、概念を言語化することは同語反復と袋小路にすぎないと語った。
しかし、私たちは意味を持たない叫び(同語反復)によって言葉の可能性を広げることができる、ライヒがミニマルミュージックによって音楽の可能性を広げたように。
それは言葉の持つ新しい可能性の、ただ一例にすぎない。
言葉〈シニフィアン〉の持つ意味内容〈シニフィエ〉はけして固定されたものではない。つまりはその可能性もまた。
言葉は自身が語る以上のことを理解させることはできないけれど、沈黙ということばが、意味を持たぬ叫びが、世界をダメージすることがある。
それは、『理解』の変形じゃないかな。

ダメージアは、ダメージすることで自らに生きる理由を与える。ダメージすることが彼女のレゾンデートルであり、『叫び』だ。

ダメージア。
ダメージするということ、痛みを感じるということ、自傷することを宿命づけられた少女。

ダメージア。
ブンポウノゲキテツ 
http://bunpounogekitetu.wordpress.com/
2011年01月01日(土)00時03分 公開
■この作品の著作権はブンポウノゲキテツさんにあります。無断転載は禁止です。

■作者からのメッセージ
うわ、最後に投稿してやろうとか調子こいてたら0時過ぎちった。削除したほうがいいでしょうか?

1/6追記
細かな修正と文章の位置置換。これによってそれぞれの語り手の立場が明確になった。

作者の認識している欠点についてはブログ参照。



この作品の感想をお寄せください。

2011年01月17日(月)20時01分 ブンポウノゲキテツ  作者レス
魚さん
思ったよりも多くの人が「理解」してくれましたけど、解らなかった人も多いようです。「ばらばらのテキストをつなぎ合わせる努力をしなければ物語が始まりさえしない」という特殊な構成によるものか、読者の読解力を高く想定しすぎたのか。

その感想は、精読した上でのものですか? 斜め読みでなくてその感想が書かれたのなら、もう少し読解しやすい内容に書き換えるかもしれません。期限を過ぎてしまったので、ここには公開しないと思いますけど。

pass
2011年01月16日(日)16時08分 魚  -20点
あんまりよくわかりませんでした。思わせ振りな話が並んでるだけで読みやすい小説ではない印象でした。
118

pass
2011年01月07日(金)21時56分 ブンポウノゲキテツ  作者レス
鯖の味噌煮さん
理解する能力が極端に高いか、ダメージアでない限り『理解』出来ないようにできています。
鯖の味噌煮さんが理解できなかったというのはつまり「この小説を理解する必要がなかった」ということですから、それでいいんです。

pass
2011年01月07日(金)17時29分 鯖の味噌煮  0点
ごめんなさい。さっぱり分からなかったです。
文字の上を意識が上滑りどころか、はるか空中を浮遊しそうになるのを必死にこらえて読んだのですが、やっぱりさっぱりでした。
しかし、まったく1ミリも理解できないのに、なぜか戻るボタンをクリックできない。
なにか不思議な(僕の理解できない)何かが確実にあるのだというこは分かりました。
124

pass
2011年01月05日(水)18時35分 ブンポウノゲキテツ  作者レス
ぎゃああああ、50点! ぎゃあああーー! 評価が高すぎて怖い、怖い!!!


開蔵さん

>萌が極少

もともとの設定とイラスト(両方ポーンさん作)が公開されていたゲーム開催時は、ダメージアの婿を自称する輩やダメージアを仲間にゲームに参加する輩、掲示板にダメージアを礼賛するコメントを書き込む輩が絶えませんでした。
すくなくとも表面上は萌えられていたんです。

でも最近は
“僕たちはダメージアを好きになったというより、肯定したというより、否定してはいけない存在だと感じただけじゃないか”
ということを思っているんですけど……。
でも、ある種のあらがえない魅力があった、というのは確かです。
「もとの設定にはあった」というだけですけど。


>ダメージアのこれから

「XD エクスデント」で検索するとアナログゲームの公式サイトがヒットします。
ゲームのストーリーが時系列的に未来にくるので、ゲームの設定と一回戦のダメージアの設定を読めば「ダメージアという人物」が「物語の終わった後」にどうなったかわかります。

けどこの小説では、ダメージアは概念でもありますから……
「ダメージアという概念」の結末は、この小説を受けて“(ダメージアとしての)読者がなにをするか”によって変わってきますね。


>今作からなにかを貰ったということが少しでも伝われば幸い!

僕は小説の呪術性というやつを信じています。つまり、「おもしろい、思わず最後まで読んでしまう、感動する、美しい、なんかの哲学についてわかる」――以上のこと、「人を変えたり、救ったり、壊したり、世界を変えたり、救ったり、壊したり……」みたいなことができる小説があるってことを、信じてます。
それで、そんな小説を書きたいな。なんてことも思ってます。読者と対話しようともせずにそんなこと思ってました。
でも、開蔵さんになにか与えられたのならきっと、ある程度は成功したんでしょう、小説としての出来はともかくとして、目的は達成した、と。

エキセントリクウさんにはたしなめられましたが、しばらくは(レベルが低いうちも)こんな話を作っていこうかと思います。
といっても、最近はストーリを入れたりあからさまな萌えキャラをだしたりして、こういうプロットとテーマと衒学だけみたいな話は書いてないんですが。

pass
2011年01月04日(火)19時29分 開蔵  +50点
もうね。わかりますか!?私は今作を読んで笑いましたよ。、こう、それこそ沈黙を破るように?わかってほしいなぁ!
萌が極少、かつ、女の子が私の守備範囲をやや超えている点は難でした。基本的に萌豚感想者なものでw
しかしなんか良かったんですよー。この作品は私に向かって、こう、「ゥワッ!」と来ました!とても力強い。
そんであんまり驚いちゃった私は笑っちゃったんです、多分。グダグダな感想ですいません。

・ダメージアのこれからが気になるわさ。
・自傷、人形、沈黙、叫び。どれもこれも面白くて感想も随分と横着しましたよー。楽しませてもらってまっす。

こんなところかな。うん、やっぱ私はのめり込んだままの感想の方が性に合ってる。
出鱈目な感想ですが、今作からなにかを貰ったということが少しでも伝われば幸い!(ムチャw
125

pass
2011年01月03日(月)20時52分 ブンポウノゲキテツ  作者レス
>対話する意思が感じられなかった

こっちでしたか。この解釈も考えていましたが、会話のバリエーションが多くなるように思ったので前回のレスには書きませんでした。

「対話する意志がない」とは、話そうとしないということでしょうか、聴こうとしないということでしょうか、その両方でしょうか。
たぶん、両方でしょうからその前提で話を進めると、このころの僕が「表現」しようとしていなかったことが重要になってきます。僕は「構造物」が作りたかったんです。その一環として読者と対話する(読者に応じて意味の変化する)構造の文章を作ったんですが、僕自身には対話の意志がありませんでした。だからこそこの方法論が成立したんです。

>ただし、これは「引用」も含めてですが、難易度が高く、相当高いレベルが要求されますよ。ぼくが「引用」はやめた方がいいといったのは、それ相当のレベルがなければ、イタイ結果に終わってしまうからです。

構造を作るのが僕の唯一のとりえですから、こういうのを作らないなら僕が小説を書く意味はなくなります。
僕はイタイ人間ですし、他人からそう思われていることは受け入れています、こういわれたらむしろ、他者にイタイイタイといわれながらレベルをあげていこう、という気分になりました。
だから、「イタさ」を拒否したくて質問するわけではないのですが、この小説にたりない経験値にはなにがありますか? 

>私には、ブンポウノゲキテツさんに、ミニマリズムに対する誤解があるように感じます。
>たとえば俳句。あれは余剰を削ぎ落とした結果ではありません。最小限の文字数にたくさんの言葉をつめこんでいるわけです。ライヒの音楽も同様です。(私は実は音楽もやっていたりするので解るのですが、)ライヒの音楽は一見シンプルに聞こえますが、実は圧倒的なほど複雑で緻密なんです。普通10で10やるところを、1で10やるわけです。

イーガンの話ですが、小説から“物語”という情報を抜いている点が「ミニマル」なんだと解釈したわけではなくて、「普通の意味での」物語を「テキストの上に」おかなかった、物語をテキストの上ではなくて読者の脳の中に置いたってところにミニマリズムを感じたのです。
ライヒについても、緻密だってことは分かっているつもりです。緻密さではなくて、反復の生み出す差異のほうに目が行きますし、ライヒの緻密さがもっともあらわれるのは「come out」や「piano phase」系の作品ではないと思っていますけど。
ただ、僕はテクノ/エレクトロニカの文脈でライヒを聞いているのでクラシックでのライヒの位置づけがよくわかっていません。これは当たってます。

>「非」言語的言語実験ですか。その「非」言語的言語がミニマリズムの解釈につながっていくのであれば、それは違うんじゃないか、と思うわけです。

「非」言語学的言語、というのは後期ウィトゲンシュタインの「石版!」+αみたいなものです。前期のウィトゲンシュタインの思想の一部を後期のウィトゲンシュタインの思想の一部の変形が浸食するイメージでした。
僕の中では「非」言語学的言語のほうがミニマリズムより先に来ています。「come out」はたんに実験の例として――また、「come out」のセリフが、似あっていたので――だしました。

>バロウズも、バーセルミも

バロウズは微妙ですが、バーセルミが好きな人は逆に物語が好きな人が多いんじゃないかと思ってました。ちがうんですね。

pass
2011年01月03日(月)00時34分 エキセントリクウ  +20点
まず物語性云々の話ではありません。物語があってもなくても、どっちでもいい。
独り言に終わっていると言ったのは、ブンポウノゲキテツさんの作品からは、対話する意思が感じられなかったということです。表現とは、表現形態を問わず、対話がなければ成り立ちませんから。

ただ、私といもさんに対する作者レスで、ブンポウノゲキテツさんがやりたいことが大体解りました。独り言になっている原因はこの方法論にかかっているようですね。ただし、これは「引用」も含めてですが、難易度が高く、相当高いレベルが要求されますよ。ぼくが「引用」はやめた方がいいといったのは、それ相当のレベルがなければ、イタイ結果に終わってしまうからです。

>独白と思想の提示だけで小説を作る、物語は独白中でやや示唆されるだけ、むしろ読者の頭ン中で変わっていく思想が物語の本体、その脈動そのもの。

私には、ブンポウノゲキテツさんに、ミニマリズムに対する誤解があるように感じます。
たとえば俳句。あれは余剰を削ぎ落とした結果ではありません。最小限の文字数にたくさんの言葉をつめこんでいるわけです。ライヒの音楽も同様です。(私は実は音楽もやっていたりするので解るのですが、)ライヒの音楽は一見シンプルに聞こえますが、実は圧倒的なほど複雑で緻密なんです。普通10で10やるところを、1で10やるわけです。
「非」言語的言語実験ですか。その「非」言語的言語がミニマリズムの解釈につながっていくのであれば、それは違うんじゃないか、と思うわけです。

私はバロウズも、バーセルミも読みました。だから嫌いじゃないんです。
ブンポウノゲキテツさん、いいと思いますよ。生意気なくらいが、ちょうどいいですから。
118

pass
2011年01月02日(日)12時58分 ブンポウノゲキテツ  作者レス
エキセントリクウさん

もし興味があれば、少し付き合ってください。これが僕のミスなのか個人の価値観の違いなのか、それ以上のことなのか、よくわからないんです。

>独り言で終わってしまっている
“悪くはないけど小説よりもネタ帳に近い”というような題名の書評を読んだことがあります。グレッグ・イーガンというSF作家の小説でした。
内容は物語の不在を指摘したもので、エキセントリクウさんのとおなじ内容の問題提起だと思うんです。アイデアやらなんやら、イーガンと僕とでは比べ物にならないんですが、僕にはイーガンに首までどっぷりつかった時期があって、少なからずその影響を受けています。
独白と思想の提示だけで小説を作る、物語は独白中でやや示唆されるだけ、むしろ読者の頭ン中で変わっていく思想が物語の本体、その脈動そのもの。超ラディカル、思想小説の最小公倍数、液晶のシャープよりも目の付け所シャープ! 
当時中学生だった僕はラディカルっていう単語や、ミニマリズムという言葉への抵抗力をもっていませんでした。(いまでもこういう系の言葉を聞くと骨を投げられた犬とか電池を投げられた電気犬みたいにしっぽ振りますけど)

“テキストの上”に普通の意味での物語がないのは、小説から物語性を(余剰として)排除した結果なんです。

で……物語のない物語をみて読者が(この場合エキセントリクウさんが)どういう反応をするか、という場所に問題のキーがあるんだと思いますが、この解釈であっているでしょうか。

>とくに文中の引用はやめた方がいいでしょう。引用された言葉の方が強いので。
この文について詳細を教えてもらえませんか? 上の文章とのつながりがわかりませんでした。あと、引用された言葉のほうが強くては(目立っていては?)いけない理由が。
この文は問題の核心になり得ます。

>個人的には、嫌いじゃない
嫌われなかっただけで充分です。それも、二回もこの言葉を書いてもらえるくらいに、嫌われていない。よかった、ほんとうによかった。


いもさん

パズルっていう喩えがすごく的確ですね。パズルを遊ぶ過程がパズルを完成させる過程になっている、というところが。

“ジグソーパズルの完成”が解釈って意味なら、可能なはずですよ。これはそもそも理解することについての話ですから。
頻出してる単語をリストアップすると整理しやすいかもしれません。
「言葉/コミュニケーション(人間が他者を理解したり自分を理解させるのに使うもの)」「理解」「痛み/意味(伝えたいもの、理解して欲しいもの)」
文章をこの三つにカテゴライズすると、パズルの全体像が見えてくるかと思います。

理解についての話が理解されないって、致命的ですけど……
でも、読者が主人公と同じ問題にぶち当たって、物語を読み進めること(解釈すること)自体が問題の解決になるっていう構造を壊したくないです。読者自身が哲学的な彼女だなんて、“哲学的な彼女”企画にぴったりではありませんか。


pass
2011年01月02日(日)04時24分 いも M8vT5jA.U. -10点
んー、一言で言うならば、「実は完成しないジグソーパズル」
一つ一つのピースは出揃っているように見えるんだけれど、組み立てようとしても組み立てられない・・・

122

pass
2011年01月02日(日)00時21分 エキセントリクウ  +20点
個人的には、嫌いじゃないです。ただ……。

イメージ的には、いくつかの紙片に覚え書きを書いて、それを並べて見せているだけというか……もう少し言っちゃうと、独り言で終わってしまっているというか……。
とくに文中の引用はやめた方がいいでしょう。引用された言葉の方が強いので。

でも、個人的には、嫌いではないですよ。
118

pass
2011年01月01日(土)22時54分 ブンポウノゲキテツ  作者レス
折伏ぬゐさん

はじめまして。
ものすごい不安をいだいたまま投稿していたので、最初の感想が好意的なもので嬉しかったです。

>複数の作品が折り重なっている
いつも使ってる手法なんです。たしか一年前、アナログゲームの設定としてこの文章を書いて以来、力を入れた小説には毎回毎回性懲りも無くこの手法を使ってきました。

>自己の存在を確認するという点で自傷行為と相性が良さそう
この小説では自傷を“自己の存在を確認する行為”と解釈してますけど、この解釈、自信がなくて。
ボーダー系なんかの場合“他者の注目を浴びる”という目的での自傷が多いといわれていますけど、彼女たちが過剰に“注目を浴びたい”という願望をもつのは「他者との関係のなかで主体を発見できていない=もっと他者との関係の中にはいって自分を手に入れたい」ためじゃないかと思ったんです。

>あと文章力分けて下さい
この小説の、推敲前をネットで知り合った友人がみてもらったところ、まったく読む気がしないとの感想をもらってそれ以来ずっとへこんでました。癒してくれてありがとう。

>内容が抽象化され過ぎていて感情移入は難しかった
担任の先生におなじことを指摘されました。今は日和ってもうちょっとストーリー性の高い小説を書いてるんですが、これは小説を書き始めたばかりの頃にかいたものなので抽象的ですね。

>一つ一つのパラグラフをもう少し長く読みたい
これを書いてた頃、ボルヘスの「長編小説を書くよりその要約とかノートを取ったほうが効率がいい」的な言葉とポーンさんっていうフリーゲーム作家の「可能なかぎり余剰をそぎ落とす」美学に惹かれてたんです。
今もこのふたりには憧れてるんですが、僕には真似できないタイプの人なんだってことがわかって、別の方法論で書くことにしています。

今回この企画に投稿する予定だったべつの作品が5万字超えてしまったので、100枚以内では割と出来が良くて哲学してるこいつを投稿しました。
書き直すことも考えましたし、そうしたらいくつかエピソードを付加したでしょうけど……時間がなくて、このままです。

どうも、おそまつさまでした。

pass
2011年01月01日(土)18時51分 折伏ぬゐ 3zzXlUmpzE +20点
はじめましてブンポウノゲキテツさん。ぬゐというものです。作品読ませて頂きました。


鈍い私が、複数の作品が折り重なっていることに気づいたのは、半分以上読み進めてからでした。気づいた時はこういう展開のさせ方もあるのかと思わず感動しました。

また、広い知識と深い考察の上に成り立っている作品であることが伝わってきました。叫ぶという行為、自分はあまりしたことがありませんが、自己の存在を確認するという点で自傷行為と相性が良さそうですね。
あと文章力分けて下さい。


反面、内容が抽象化され過ぎていて感情移入は難しかったです(それが狙いなのかもしれませんが)。
それから欲を言わせていただきますと、一つ一つのパラグラフをもう少し長く読みたいとも思いました。もし具体的なストーリーの中にこれらの話がちりばめられていれば、私なら鳥肌ものです。


とにもかくにも、ごちそうさまでした。では。
115

pass
合計 6人 60点


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