愛について
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? ラテス
 近ごろ、ソフィストと呼ばれる男たちが街のあちこちで女をナンパしていると言う。女のことならなんでも知ってる、彼らはそう豪語しているらしい。
 ラテスは彼らの誤りを正すために、街へ出かけることにした。
 
 あら、早速ひとり見つけたわ。うん、確かにちょっといい男ね。
「あなた、わたしを楽しませること、ほんとにできる?」
「あたりまえだろ。試してみるかい」
 そこでふたりは、手近なラブホで対話することになった。
 ふたりでシャワーに入り、ベッドインした。確かにキスはうまい。舌が絡まりすうっと吸いこまれたとき、ラテスは思わず頭がくらくらしそうになった。彼はゆっくり胸を揉み、乳首、臍の周り、もっと感じやすいベルへと舌を這わせていった。そこから濡れたところへ移るタイミングも絶妙で、焦らし過ぎないうちにぐっと入ってくる。緩急のリズムもよく……。
 ことを終えたとき、彼は勝ち誇ったように、語りかけた。
「な、よかったろ」
「どうして、そう思ったの?」
「涙を流しながら首を振ってたし、脚を痙攣させながら、よがり声まで上げてたじゃないか」
「そんなことで、わたしが芯の芯まで感じてたかどうかなんてわかんないでしょ。もちろんわたしにも、あなたが満足したかどうか、そんなことわかんないわ。でもね、わたしは少なくとも、わたしには男について知りえないことがあるってことはわかってる。その分、わたしのほうが真実を知ってるとは思えない?」

? カルト
 わたしたちの愛はほんとに存在するのか。カルトは彼との愛のすべてを疑ってみた。
 愛してると言う言葉も、クリスマスにふたり過ごしたことも、誕生日にブルガリのネックレスを贈ってくれたことも、すべて欺瞞かもしれないと。

 ベッドに入ると、彼は優しく目蓋にキスして、耳もとで「愛してるよ」と囁いてくれた。でも、こんな甘い言葉に誤魔化されてはならない。
 愛ってなんだろう。カルトに疑われていることも気づかずに、彼は愛撫を続けている。ああ、この手の感触も、胸の厚みも、愛が偽りならすべて失われてしまうだろう。彼を愛していたいのに、愛は見えない。
 悶えるうちに、膣がとろけて膨らんでくるような感覚にカルトは気が遠くなっていった。
 ううっ……彼の肩を噛みながら、カルトの脳裏にひらめくものがあった。

 すべてを疑ってもなお、こうしてとろけんばかりに感じているわたしがいる。彼とひとつになって今まさにイキそうなわたしは、確かに存在しているのだ。
 わたしは彼とひとつになって感じている。このことこそ、わたしたちの愛がここにあることの証左ではないか。

 ああ我感ず。ゆえに我あり。

? ストラ

「あなたは知らないの? 愛は死んだということを」
 ストラは最初の求愛者にそう告げた。
 愛は死んだのだ。皆それを知らず、偽りの愛を崇めている。
 
 そして今日もまた、ストラはかく語った。
「愛の偶像に祈りを捧げる人々は、真の愛を知らないのよ。種は進化していく。だとしたら愛もまた愛を超えた何ものかに進化していくべきでしょう」
「もちろんそうだとも。実は僕もね、映画を超えた映画、哲学的萌え映画という新しいジャンルを模索しているんだよ。愛を超えた愛、セックスを超えたセックスがテーマなんだ。君にぴったりだろ。出演してくれないかな」
 ストラはにっこり頷いたのだった。

ソフィー 

2010年12月30日(木)01時29分 公開
■この作品の著作権はソフィーさんにあります。無断転載は禁止です。

■作者からのメッセージ
ご批評、よろしくお願いいたします。


この作品の感想をお寄せください。

2011年01月28日(金)19時50分 ソフィー  作者レス
クリスティナさま、

ご感想、ありがとうございます。


笑いをとるためのコメディーみたいなショートは、初めての試みでした。
最後の一行で笑っていただけたとのこと、たいへん嬉しいです。
締め切り間際に投稿したくなりまして、思いつくままに数時間で仕上げてしまいました。
もう種切れです。次はないと思います。


>「萌え」は難しいだろうと思います。

はい、構成もありますけど、「萌え」というものは男性の抱くものですから、ヒロインに幾ら感じさせたってムダだったってこと、今さらですけど気づきました。


執筆、はかどられますよう、お祈りしております。


わざわざのお越し、そして過分な得点、ありがとうございました!


pass
2011年01月28日(金)02時34分 クリスティナ  +30点
ソフィーさま

拝読いたしました。
執筆を一休みして、ふらふらと明かりを求めてさまよう季節外れの蛾のようにこちらまで飛んでまいりました。

ソフィーさまのこの作品、わらわたいそう面白うございました。
発想を評価させていただきます。それぞれ最後の行で笑いました。わらわを笑わせるとは……。
これは「哲学的な彼女たち」ですね。構成上「萌え」は難しいだろうと思います。あと何人かの彼女たちをぜひとも書いていただきたかったです。

ありがとうございました。

114

pass
2011年01月20日(木)00時18分 ソフィー  作者レス
古川 渚さま、

ご感想、ありがとうございます。
こちらでのお名前、間違えまして、失礼いたしました。


>考えさせられる内容で、面白いのですが、もう少し長いストーリーを読みたいなと感じました。

はい、わたくしも道草文学に触発されまして、急に投稿したくなってしまったんです。締切間近でしたので、こんなものしか描けませんでした。
落ち着いて旧作をあさりましたら、哲学っぽいのもみつかったのですが、もう遅くて。


>哲学的でしたが、萌えは感じませんでした。ごめんなさい。

ですよね。萌えはむずかしいです。にもかかわらず点数くださって、うれしかったです。


>膣がとろけて膨らんでくる、とか、ひとつになる、とかの表現から、ソフィー様がとても包容力のある女性のような気がしたのですが、
ちがっていたらすみません。
もし、男性ならば、表現力がすごいな、と思います。

このあたりの描写、しづらいので、HNを変えました。
お恥ずかしい限りですけど、いい勉強にはなりました。萌えを描くためには男視点に成らなくてはいけないのですね。
我感ずではなく、汝感ずを狙うべきでした。


>また、お会いしましょう。

是非に!


ありがとうございました。




pass
2011年01月19日(水)15時41分 古川 渚  +20点
ソフィー様

遅ればせながら読ませていただきました。
考えさせられる内容で、面白いのですが、もう少し長いストーリーを読みたいなと感じました。哲学的でしたが、萌えは感じませんでした。ごめんなさい。

膣がとろけて膨らんでくる、とか、ひとつになる、とかの表現から、ソフィー様がとても包容力のある女性のような気がしたのですが、
ちがっていたらすみません。
もし、男性ならば、表現力がすごいな、と思います。

また、お会いしましょう。



123

pass
2011年01月15日(土)15時46分 ソフィー  作者レス
てーとくさま、

お読みくださったうえ、コメントまでくださいまして、ありがとうございます。

ラテス、お気に召していただけて、よかったです。

カルトはやっぱり無理があったようですね。

ありがとうございました!




pass
2011年01月14日(金)22時47分 てーとく  +10点
ラテスがよかったかな。
カルトはなんか腑に落ちない感じでした。
111

pass
2011年01月07日(金)21時34分 ソフィー  作者レス
流れ星さま、

ありがとうございます!
鑑識眼に感激いたしました。

わたくしといたしましては、いつになく官能的な表現を多用したつもりでしたのに、殿方に萌えって気持ちになってはいただけなかったみたいです。

ほんと、萌えって難しいですね。


ソクラテス、デカルト、ツアラトストラだけでも面白いといっていただけて、よかったです。

ありがとうございました!



pass
2011年01月07日(金)21時08分 流れ星  +20点
拝読いたしました。
結構面白かったですよ。
ソクラテス
デカルト
ツアラトストラ
と来て
それぞれにネタが哲学的で笑えました。
ただ萌えの要素が少ないんじゃないでしょうか?
萌えをもっと出すと成功したと思います。
そこを加味して20点でどうでしょう。
111

pass
2011年01月05日(水)01時12分 ソフィー 2//MAs0sro 作者レス
nさま、

 ありがとうございます。もう、どなたもご感想くださらないのかなと諦めかけておりましたので、喜びもひとしおでございます。

 ちょっと面白かったとおっしゃりつつも、0点、かみしめたいと思います。


>短すぎてもの足りなかったです

 なんだか、どうしてもこの企画に参加したいなという衝動を感じまして、一晩で仕上げてしまいました。もっと練りこんでから、UPしなくては相手にしていただけないのだと、猛省しております。


 わたくし的には、カルトを膨らませようかなと考えていたのですが、テラスのほうがよかったでしょうか。


>涙を流しながら首を振ってたし、脚を痙攣させながら、よがり声まで上げてたじゃないか

 このあたりの表現が気恥ずかしくて、使ったことのないHNで投稿したのですが、なんのお付き合いもない方から、感想をいただくだけの力が拙作にはないことを、痛感しております。


 ご感想くださいましたご親切、心から感謝しております。
 ありがとうございました。









pass
2011年01月04日(火)23時57分 n  0点
ちょっと面白かったです。
少々無理がありながら、それもまた笑えました。
でも短すぎてもの足りなかったです。

最もリアリティーがあったのがラテスです。
ラテスだけでもっと長いお話が読みたいです。

「涙を流しながら首を振ってたし、脚を痙攣させながら、よがり声まで上げてたじゃないか」
このあとに、もっとつっこんで質問し続けるラテスであってほしかったです。
111

pass
合計 5人 80点


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