彼女と俺のクリスマス問題
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「本っ当にゴメン!」
俺は膝をつき頭を下げ、謝罪の言葉を口にした。いわゆる土下座というもの。
その光景はおそらく人がいるところではとても出来ないことであろう。
しかし、ここは俺の幼馴染である沙奈の部屋だった。
そんなわけで俺が土下座なんてしてても全く問題ないわけである。
彼女は決して俺の恋人とかではなくあくまで幼馴染だ。
そんな子供のころから全く進展しない関係に終止符をうつため告白をしようとクリスマスにあう約束を取り決めるところまでは良かったのだがその後に問題が発生したのだ。
「・・・で?何でよりにもよってその日に補習が入っちゃったわけ?」
「・・・スミマセン。」
「しかもあれって確か今回のテストで赤点取るぐらいの人じゃないと掛からないってレベルじゃなかった?そんなにできなかったわけ?」
「・・・はい。」
そう補習。しかもよりにもよってクリスマスに・・・
取り分け自慢出来ることの無い俺にとって勉強は唯一できることであった。なのに補習。しかも今回に限って。
そうはいってもこのクリスマスで告白をしようというのに勉強に集中しろというのが無理な話だ。さらにクリスマスにどこに行くのかも決めていたのだから勉強をする時間などないに等しかった。
しかし、こうなってしまった以上クリスマスも何もあったものではない。
沙奈はイライラしたように貧乏ゆすりを繰り返している。
「あの・・・何か言いたいことがあるんならズバッと言っちゃってもいいんですよ?」
「言いたいこと?あるわね。あるわよ!でもそれをいおうと思ったらアンタの補習はおろかアンタの寿命だって尽き果てるわよ!」
「んな!?俺の寿命が尽きるほどまで文句があんのか!?絶対それって今回の件とは関係ないことが入ってるだろ!?」
「そうよ!悪い?どうせアンタのことだから私のありがたい説教でさえも1割も理解できないでしょうけどね。このバカ!」
「バ・・・お前、俺をバカっつったか!?確かに今回はテストの点数も悪かったけどそれは色々と悩みがあっただけで・・・」
俺は勢いよく立ち上がり反論しようとした。
・・・がそんな言葉を遮るように沙奈は俺の目の前に人差し指をつきだしてきた。
「言い訳は結構よ。悩みなんていう適当な理由をつけてバカなのを認めようとしない奴こそ本物のバカよ。ってゆーかアンタに悩みなんてあるわけ?」
「あるわ!お前の中で俺はそんなに能天気に見えるのか!?」
「ま、見えないって言ったら嘘になるかも。」
「ひでぇな!そこまで言われる筋合いはねえぞ!」
「ま、能天気だろうがバカだろうがアンタはアンタなんだしいいんじゃないの?私はそのぐらいの理由でアンタのことを見捨てたりはしないわよ。」
っていうか俺はもう能天気でバカっていうキャラになったのか・・・
見捨てないって言ってくれたのは嬉しいけど何か複雑な気分。
「沙奈・・・」
「で?悩みって何なのよ?」
「へ?」
「だから。さっき悩みがあったせいで勉強が出来なかったっていってたじゃん。私になにか出来ることがあるかもしれないじゃない。」
沙奈からしてみれば幼馴染である俺が悩みがあると言ったのだから心配するのは当たり前かもしれない。しかしそれは今、俺にとっては余計なお世話というものだ。沙奈に告白をするセリフを考えていたなんてことは言えるはずもない。
「悩みっていうのはね人を弱くするものなのよ。かの有名な鈴木さんだって悩みがあったせいで襲撃をうけた時に動くことすらできなかったんだから!」
「誰だよそれ!?お前今、適当に作ったろ!?さらに言わせてもらえば鈴木さんなんで襲撃うけたの!?」
「まーいいじゃない細かいところは。それだけ私がアンタの悩みを解消させてあげたいって思ってるわけなんだし。なんならまた悩みのせいで失敗した人の例を出してあげようか。」
「・・・分かったよ。分かった。教えてやるからこれ以上変な例を出さないでくれ。」
俺はやむを得ず適当なことを言ってごまかすことにした。
「えーっと。俺の幼馴染が俺に対してバカとか悪口を言ってくる。・・・とか?」
俺の足が踏み潰された。しかも思い切りの力で。
「っ痛ぇ!」
「何が痛いよ!誰のせいでこんなことになってると思ってんのよ!」
「はい。スミマセン。」
「ま、いいわよ別に。人間の寿命がおよそ80年。私たちの年齢を差し引いたとしてもたった60年もあるもんねえ?」
「絶対お前許そうとしてないだろ!?『たった60年も』ってなんだよ『たった』って言う言葉に思いっきり悪意を感じるんだが!?」
「そうよ!悪意があって言ってるんだから当然でしょ?私はアンタがクリスマスに誘ってきて予定を空けてたのに補習で行けないってなによ!」
「それは悪かったって!頼むから耳元で叫ぶのはやめてくれ!」
「・・・じゃ、じゃあ埋め合わせしなさいよ。」
「埋め合わせ?」
「うん・・・ア、アンタが誘ってきといて断るんだからもっと私が喜ぶようなことを・・・」
「まあ、そりゃそうかもな。分かった。沙奈の喜びそうなことかぁ・・・何か奢って欲しいものとかあるか?」
「・・・鈍感」
「へ?」
俺の足が再び踏み潰された。しかもさっきよりも強い力で。
「っ痛ぇえ!」
「うっさい!この鈍感バカ能天気男!確かにアンタは超能力者じゃないから私の気持ちは分からないで当然だけど何年、幼馴染やってんのよ!私の気持ちにぐらい気づいてくれてもいいじゃない!」
「お前の気持ちって・・・」
「これだけ言っても分かんないの?私はアンタのことが好きなのよ!」
沙奈は泣きながらも告げる。
「クリスマスの時に言おうと思ってたのにアンタが補習なんてとるから・・・この大バカ!」
「・・・ゴメン」
謝ることしか出来なかった。それだけしかできない自分にイライラして、ほかに出来ることがないのかと考えて・・・気づくと俺は沙奈を抱き寄せていた。
「好きだよ。俺も。」
「え?」
「俺も沙奈のこと好きだから。」
「うん。ありがとう。」
「けどホントにゴメンな俺から誘ったのに。」
「もう、いいよ。今さらどうしようもないことだし。その代わり・・・」
「?」
「その代わりに補習が終わったら私たちだけでクリスマスしよ。」
「え?でもそんなのでいいのか?」
「いいよ。別に。それに・・・」
まあ結局のところ・・・
「それに好きな人と一緒にいれればいつだっていいんだからさ。」
これはこれでよかったのかも知れない。
湯気 

2010年12月30日(木)00時20分 公開
■この作品の著作権は湯気さんにあります。無断転載は禁止です。

■作者からのメッセージ
始めまして湯気です。
これを書いてみて思いました。
哲学は難しすぎる!
なんか哲学になったのかどうなのかわからない感じです・・・
この話は僕が24・25・26のときに2泊3日で補習の合宿に行くことになって思いついたものです。
彼女いないですけど。
その時期に投稿したかったんですけど結局、完成させられませんでしたよ。
けどそれをこの企画で書くのは無謀すぎたのかもしれませんね。
もしよろしければ良かった点や悪かった点を教えて下さい。次回につなげたいんで・・・


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2011年01月20日(木)18時07分 酉野目  0点
 うーん。こういった激しい?掛け合いはあまり好まないので、評価が厳しくなっているかもしれませんが、ご了承ください。
 
 やはり哲学的要素が足りないと思います。意識しなければ、掛け合いのおもしろさしか頭に残らない作品だと思います。
 また後半のオチの部分が急に失速した印象があります。なんというか展開がテンプレでオチに工夫が欲しかったです。

 まあ、私も人のこと言えないようなモノなので、テキトーに受け取って下さい。
119

pass
2010年12月30日(木)22時16分 湯気  作者レス
お読みいただき光栄です。
やはり哲学的な要素の不足が大きかったですね。
他の方の作品を拝読させていただいて参考にさせてもらおうと思います。
ありがとうございました。

pass
2010年12月30日(木)00時40分 白光  +10点
はじめまして、白光(びゃっこう)です。この作品を挟んでいる者です。

感想としては、台詞が多めでテンポがよく、ドツキ漫才のような感じを受けました。
しかし、あなたもおっしゃっていたとおり、哲学的な要素が薄いかな、と。
なかなか面白いテーマだったのですが、もう少し哲学チックな味わいを感じたかったな、と思いました。
129

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合計 2人 10点


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